「ちょっとエッチ」がいい。たなかみさき作品から考える、性教育とそれから
たなかみさきさんの絵、可愛いですよね。インスタやってる人で、可愛い服のアカウントとかフォロワー多い人をフォローしてる女子は、絶対一度は目にしたことがある絵柄。
実際のところみんなが良いって言ってるから私も良いと思ってる部分が無きにしも非ずだけど、それを抜きにしても、彼女が描く世界観は素敵だと思う。
たなかみさきさんが描く女の子は、エッチでどこか懐かしく大好き。
ー水原希子
水原希子さんが言うように、彼女の絵はえっちなのだ。エロではない。エッチなのだ。
たなかみさきさんの絵を見ていると、つい自らの男女関係について考えてしまう。それが逆に、良いのだ。
日本の性教育
女の子が性についてオープンに語れる場って、今はまだ少ないと思う。
そりゃあ調べれば出て来るし、なんとも思ってない人だって沢山いるし、カフェであの人が良かったとか避妊がどうのとか、そーゆー話を出来る人もいる。
でも日本社会全体で見ても、あまり寛容な雰囲気とは言えないと思う。綺麗な女優さんはそんな下品なことを言ったらダメとか、そういうことに対してハッキリと明言すること、主張することは憚られるのだ。
それに、少なくとも私にとっては難しい。
恥ずかしさと謎の遠慮によって、そう言うことからは遠ざかるようにしていた。正直、人に話して何か良い気がしないのだ。
多分だけど、これは両親の影響も大きい。
我が家では恋愛、性の話は一切しない。彼氏がいても言わない。家族には、決して恋愛相談なんてしない。そんな家だ。
そんなもんだから、私自身結構きつい。いや、正確には、きつかった。
今は全然気にしてないし、今更変わらなくていいと思っているけど、特に思春期は。そのとき特有の苦しさがある。
性教育は誰が行う?
学校でも、ちゃんとした性教育は成り立ってなかったと思う。例えば、「避妊するために必要な道具を答えよ」って保健のテスト問題が出て、子どもたちは「コンドーム」って答える。
簡単だ。
英語のような横文字を覚えるだけ。しかも男子がからかったり、嬉しそうにふざけてたりするから、覚えやすい。
でも。
それが一体どういうもので、どこに売ってて、どういう風に使って、処理して、…って話は、全くなかった。
だから、何も知らないのだ。分からないのだ。色々と。挿入って言葉とか、習ったときは読めなかった。フリガナふってあったかもしれないけどさ…いや、読めねぇよ!だから何のことかなんて、さーっぱり分かんないんだ。
大人は隠す。まだ早いからねって言って、大人の玩具だよって言って、隠す。でもそれじゃあ、一体誰が性教育をしてくれるのだろうか?
…いや、これはもしかして、いわゆるアクティブ・ラーニングの最先端だったのだろうか?主体的に疑問を抱き、それを自ら追求して答えを出し、他者と議論するという、現代では良しとされるあの、アクティブ・ラーニングか?
答えはないんだろうが、まぁ一言で言うと「誰か教えて欲しかったなぁ」ということ。賛否両論あると思うけど、それでも誰かが、ちゃんと知識を与えてほしいと思う。知識がエロ本とかAVとかから入ると、誤解を生む可能性もあるから。
あの産業は、教育とは別の立場であるはずだ。欲を満たすという点で、非常に重要である一方、特有の理解されにくさ、後ろめたさみたいなのが付いて回る。
だから紗倉まなさんとかが活躍している姿はとてもカッコいい。"そういう"業界の偏見に真正面から立ち向かってる。「最低。」観たい。
「たなかみさき作品」が支持される理由
少し話がそれたが、たなかみさきさんの話に戻る。
たなかみさきさんが描く男女関係は、女子の「気持ち」にフォーカスしてる感じがする。快感とかそういうものではなくて、「この人が好きだけど、なんでかよく分からない」とか、「恥ずかしいけど、でも」とか、なんかそういう。上手く言葉に出来ない、その空白を埋める感じだ。
そういうのが、支持される根源にあるんだろうなぁ。
もちろん、計算された構図とか色使いとか、もともとのデザイン性もあるけれど。こんな風に、自然と性や男女関係や人そのものについて考えさせらるものって、なかなかない。
江戸時代の春画みたいに、とは言わない。でも少しずつ、性だとかそういうものに対して寛容な雰囲気が社会にもっと浸透したらいいなと思う。